講義コラム


「講義コラム」には、大阪芸大や非常勤先で私が担当している科目のうち、「美学概説」「音楽美学」「音楽芸術論」などの講義で論じた問題について、その理解の一助となるよう、それぞれの問題の核となる事柄をまとめたものを載せています。そのどれもが私の研究テーマであるので、今以上に考察を深めることができればと思っています。

映画音楽でポイントとなるのは、言うまでもなく映像領域と音楽の関係です。音楽はサウンドトラックに自足しているので、原理的に両者は並行関係を保っています。この点が重要な切り口を提供してくれるでしょう。音楽は映像に対していわば外側から働きかけることができるので、ナレーターのような位置に立つことができるわけです。

美学において念頭に置いておかなければならないことは、美学には二つの柱があり、それが美と藝術であったという点です。ただし今日では、美という価値領域はその特権的地位を失っており、藝術もまたいわば世俗化してアートというカタカナ表記で表わされる活動に吸収されてしまっています。そのため、今日ではこの二つの柱よりも、むしろ感性という働きに焦点を合わせた考察が重要性を増してきています。

時間については、私たちは時間の経過を肌で感じ取るにもかかわらず、時間を見たことも聞いたこともない、という点が大切な切り口となるように思います。時間経過は体験されるのに、時間は言うなれば抽象的である、という逆説的なあり方を示している点に、時間の秘密があるのかもしれません。